海岸沿いを走る電車に揺られながら、少年は不思議な歌手のことを
考えていました。
憮然とした表情で、これ以上開けれないというほど、大きな口を開けて唄う
髪の長い歌手。
一番新しいと思っていたグループサウンズとも、少し違うような歌手。
何だかわからないような歌詩を、ギターを自分でひきながら唄う歌手。
どうやらその歌手の正体が見えてきたのは、家に帰り姉と話しをしてからでした。
少年と6歳離れた姉は、その頃大学の一年生で、フォークソング部に入っていました。
少年は、その日姉と話しをするまで、フォークダンスをするのが
フォークソングのことだと思っていたのです。
「姉ちゃん、ワシ今日広島で、吉田拓郎というギターをひきながら
唄う歌手を見たんよ。
今まで聞いたことのない歌じゃったけど、ありゃぁ何じゃろうか。」
「へー拓郎さんを見たんねー。凄かったじゃろー。」
「拓郎さんって・・姉ちゃんあの歌手知っとったん!?」
「広島と東京を行ったり来たりしとるフォークの歌手なんよ。」
「じゃあ、あの兄ちゃんも、フォークダンスを踊るんじゃぁ。」
「何で、ダンスを踊らんにゃぁいけんのん。」
「だって、フォークソングじゃろ。」
「あんた、フォークソングと、フォークダンスは違うんよー。」
「どう違うんね。」
姉はもう面倒になったのか「まぁ、子供に言っても分からんわー」
と言って自分の部屋に入っていったのでした。
吉田拓郎・・・。フォークソング・・・。
それが本当の意味での、少年と音楽との出会いだったのかもしれません。
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僕も最初テレビで吉田拓郎の歌を聴いて、『これは音楽なのかなぁ。』とびっくりしました。
それからずっと、自分の中で大切な物です。
それにしても『憮然とした表情で、何だかわからないような歌詩を、唄う歌手。』と言う表現が面白くて、その通りで、拓郎の良さを再認識しました。
ありがとうございました。
投稿者 春だったね。 : 2009年04月07日 01:39
何度聞いてもいい話です。
羨ましいナァ。
投稿者 馬車道マスター : 2009年12月16日 17:11